【司法書士試験】本試験より難しい問題を解くことの必要性④

司法書士試験
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こんにちは。九条です。

今回は、前々回に引き続き本試験より難しい問題を解くことの必要性について見ていきます。

この記事を初めて読む方は、先にこの記事をお読みください。

まとめますと、前編において、私は次の事項を主張しました。

  • 問題のランク付け(Aランク~Cランク等)は x軸の意味での難解さの反比例にすべきである。
  • y軸が高い知識から y軸が低い知識を幾らでも作り出せる。(肢を無数に作ることができる。)
  • y軸が低い知識から y軸が高い知識を復元し回復するには、無数の肢が必要になり不可能に近い。
  • 無数にある肢を、過去問や答練でカバーするのは事実上不可能だ。
  • 合格ゾーンの倍の厚さの問題集があろうとも、無数にある未出の肢をカバーできない。
  • 普段解かなければならない問題は、y軸の意味で本試験より難しい。
  • 司法書士試験の第一関門は「本試験で出題される問題形式と、普段解かなければならない問題形式が根本的に異なる。」ことにある。これさえ理解していれば、勉強方法を大枠で外すことはない。勉強方法の半分以上はクリアしていると言える。

①~③と通して本試験より難しい問題を解くことの必要性について説明しました。本質は既に説明しているのですが、その具体的な勉強方法を示しておかなければなりません。細かい勉強方法は後程記事にしますが、本編では勉強方法の大枠と方針を説明させていただきたいと思います。

参考記事

【司法書士試験】本試験より難しい問題を解くことの必要性①

【司法書士試験】本試験より難しい問題を解くことの必要性②

【司法書士試験】本試験より難しい問題を解くことの必要性③

更に y軸を突き詰める

y軸が高いという意味で難しい問題とはどういうものだったかを思い出してください。忘れてしまったよ!と言う方のために具体的な事例を示します。

(問5)株式会社の解散原因をすべて述べなさい。

これらをさらに突き詰めてみましょう。これらよりも更に y軸が高いという意味で難しい問題とはどのようなものになるでしょうか?

こういうものになります。

(問6)分野「XXXX」について、試験に出題される可能性のある論点を全て説明しなさい。

更に更に y軸を突き詰める

更に更に、y軸が高いという意味での問題の難しさを突き詰めます。

どのような問題が考えられるでしょうか。

こういうものになります。

(問7)貴方が使用しているテキスト(+サブテキスト)の内容を全て説明しなさい。

完全暗記とは

問6(ある分野の論点を全て説明)や問7(テキストの内容を全て説明)を解けるようになるための勉強、これを私は「完全暗記」と呼んでいます。

どこまで y軸を突き詰めるか?

さて、問7(テキストの内容を全て説明)はいくら何でも無理だろうと思われる方が多いと思います。私もそう思います。実際に挑戦しましたが無理でした。

問7(テキストの内容を全て説明)が解けずとも合格できるわけです。

実は、私は問7(テキストの内容を全て説明)を解ける!「テキストの全部を端から端まで完全暗記している!」と自称する合格者に実際にお会いしたことが有ります。ハッタリではなさそうでした。(良い意味で)こいつ廃人だな!と思ったのを覚えています。こういう方を個人的に廃人と呼んでいます。

こういう廃人は全国順位2桁~1桁で合格していきます。

問7(テキストの内容を全て説明)を解ける廃人が実在する以上、問7を解けるようになることが理想の勉強方法です。

あくまでも理想ですが、これならば記述が基準点を割りさえしなければ100%合格できます。

そんなの無理だと思うかもしれませんが、問7(テキストの内容を全て説明)を絶対解けるようになるんだ!という気持ちは必要だと思います。

では、問6(ある分野の論点を全て説明)を説けるようになる必要はあるでしょうか?

結論から言いますと分野によってはあります!

例えば募集株式の発行です。

(問6の1)分野「募集株式の発行」について、試験に出題される可能性のある論点を全て説明しなさい。

これはなぜかと言うと次のような理由があります。

  • 非常にややこしい論点であり、全部説明できないと本試験で迷う可能性がある。
  • 択一式の頻出論点である。
  • 記述式の頻出論点である。

これが記述式の頻出論点であるということは、これが解けないようでは「記述挽回」は無理です。

確かに、「記述挽回」の場合は、y軸の意味で難しい問題をそれほどたくさん解かずに合格された方もいらっしゃるようですが、それでもまったく解かないというのはあり得ません。

なので、「択一逃切」だろうと「記述挽回」だろうと勉強方法に大枠での違いはありません。

結局のところ司法書士試験の勉強は y軸の意味で難しい問題をひたすら解くというものです。

予備校の役割

勉強方法の大枠という視点で言うなれば、予備校が指導すべき点は大きく4つあると考えます。(私は予備校の講義をほとんど受けていないので、憶測でしか言えませんが…)。言い方を変えるなら、これらの指導を受けられないことが独学の不利な点となります。

予備校を利用する場合、講師から次のような説明が有るはずです。

  • 完全暗記の必要性そのものを説明する。
  • テキストを読み込むだけでも理解できる分野(暗記が必要ない分野)を明らかにする。(y軸の意味で難しい問題を解く必要が無い分野もあります。)
  • 完全暗記までは必要ないが暗記が必要な論点を指摘し、覚えるべきポイントを明らかにする。言い方を変えるならば、問5のような問題(y軸は高いが易しめの問題/会社の解散原因)を出題する。
  • 完全暗記が必要なのはどの分野なのかを説明する。言い方を変えるならば、問6(ある分野の論点を全て説明)を、解けるようにならなければならない分野を明らかにする。

以上の説明を聞けることが予備校の最大のメリットであると考えます。

仮に問7(テキストの内容をすべて説明)を解いてしまうような廃人には、講師は必要ありません。

予備校に通っていても、講師の指示に従わずに y軸の意味で簡単な「肢の正誤だけを判定する問題」を解き続ける方もいるかもしれません。それは勉強方法を根本的に誤っており、その勉強方法を改めない限り、合格できません。

独学の場合

独学の場合、講師が付いていません。そのため、上記の講師の役割を誰にも期待することができません。これが独学の不利な点のひとつです。

完全暗記の必要性を誰も説明してくれません。これは勉強の過程で自ら気が付く必要があるか、私の Web サイトを見て信用していただく必要があります。

次に、問5(会社の解散原因)、問6の1(募集株式の発行について全ての論点を説明)のような問題を出題してもらえないこと。これも独学の不利な点です。

これをどうやって解決すればよいでしょうか?

過去問題集を使うことです!

たしかに y軸の意味で簡単な、肢の正誤を判断するだけの問題を何も考えずひたすら解いているだけでは、問5(会社の解散原因)、問6の1(募集株式の発行について全ての論点を説明)のような問題には正解できません。これでは本試験で未出の問題を誤ります。

しかし、過去問を解くことで、過去問の傾向を精査し、情報網羅率の高いテキストを参照しながら学習していけば、問5(会社の解散原因)、問6の1(募集株式の発行について全ての論点を説明)のような問題を自作することができるのです。

問題を紙に書き出すのは大変なので、頭の中で問題を作り、テキストや過去問を見たときに問題内容まで思い出して解いていく必要があります。

ただし、問題を紙に書き出した合格者の方もいたので、これが悪い方法だとは言えません。その方は予備校を利用していました。講師が付いていれば「y軸の意味で難しい問題を自作する手間」を省くことはできると思いますが、それでもなお勉強方法に工夫は必要ですし、講師が暗記を肩代わりしてくれるわけではありません。

やってみると分かりますが、この作業は問7(テキストの内容を全て説明)に比べればいくらかマシとはいえ、大変な苦行となり効率も悪くなります。特にテキストと過去問をいったりきたりしなければならないのが効率が悪いです。これも独学の不利な点です。

ただ、実は y軸の意味で難しい問題を網羅した教材は市販されています。また、使い方を工夫することでそのような問題集の代用になる教材もあります。それは次回に解説します。

最後に

繰り返しになりますが、独学であろうと、予備校であろうと「何も考えずにひたすら過去問を解き続けて、肢の正誤を覚える。」なんていう勉強は避けてください。それは勉強方法を根本的に誤っています。答練についても同じことが言えます。

続編記事

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