こんばんは。九条です。
今回は、前回に引き続き本試験より難しい問題を解くことの必要性について見ていきます。
この記事を初めて読む方は、先にこの記事をお読みください。
まとめますと、前編において、私は次の事項を主張しました。
- y軸の意味で簡単な問題について説明した。(問1のア~エの肢)
- y軸の意味で難しい問題について説明した。(問2~問5)
- 択一基準点付近の方(y軸の意味で難しい問題を解いていない方)は未出の肢に対応できない可能性が有る。(エの肢)
- 択一逃切点を取る方(y軸の意味で難しい問題を解いている方)は、ア~エを瞬殺で正誤判定する。(答練に出題されていようともいないとも。過去問さえ解いていなくとも。)
- y軸の意味で難しい問題を解く必要性に気付いている方は合格が近い(少なくとも勉強方法の方向性は合っている)。
- y軸の意味で難しい問題を解くことはとてつもない苦行になる。
- y軸の意味で難しい問題を解けた方、および解けなかった方、および解く意思が無い方へのアドバイスを提示した。
本編では、司法書士試験の勉強方法を考える上での最大の関門について説明します。
参考記事
参考(過去の記事の問題)
(問1)次の正誤を答えなさい。
(問1の1)ア訴えの提起は書面(訴状)でしなければならないが、簡易裁判所においては口頭ですることができる。
(問1の2)イ独立当事者参加の申出は書面でしなければならないが、簡易裁判所においては口頭ですることができる。
(問1の3)ウ管轄の合意、および飛躍上告の合意は必ず書面でしなければならない。
(問1の4)エ控訴の取下げ、および上告の取下げはいずれも期日においては口頭ですることができる。
(問2)民事訴訟法において書面ですべき訴訟行為のうち、簡易裁判所においては口頭でできるものをすべて述べなさい。
(問3)民事訴訟法において書面ですべき訴訟行為のうち、期日ににおいては口頭でできるものをすべて述べなさい。
(問4)問2~3以外で、書面ですべき訴訟行為をすべて述べなさい。
(問5)問2~3の答えのうち、紛らわしいものとその理由を挙げなさい。
(問5)株式会社の解散原因をすべて述べなさい。
前置き
中編で示したア、イ、ウ、エの肢に更にオを足してみましょう。
オ)手形、小切手判決に対する異議の申立て、および少額訴訟判決に対する異議の申立ては書面ですることを要しない。
これで本試験と同じ形式の問題ができました。
(問6)民事訴訟法に関し、次のうち正しいものは幾つあるか?
ア)訴えの提起は書面(訴状)でしなければならないが、簡易裁判所においては口頭ですることができる。
イ)独立当事者参加の申出は書面でしなければならないが、簡易裁判所においては口頭ですることができる
ウ)管轄の合意、および飛躍上告の合意は必ず書面でしなければならない。
エ )控訴の取下げ、および上告の取下げは、いずれも期日においては口頭ですることができる。
オ)手形、小切手判決に対する異議の申立て、および少額訴訟判決に対する異議の申立ては書面ですることを要しない。
皆さんが嫌いな個数問題です。
こういう問題が出題されたとした場合、おそらく正答率は50%を割り、予備校によっては捨て問扱いしてしまうかもしれません。しかし、択一逃切点を取る方(y軸の意味で難しい問題を解いている方)は余裕で正解してきます。
予備校の出す、正答率を元にしたAランク~Cランク問題などという評価は全くアテになりません。
問題のランク付けは正答率ではなく x軸の反比例にすべきではないかと思います。
即ち、些末過ぎる論点や実務的過ぎる論点(x軸の意味で難しい。)をCランクとし、問6のような難易度が高い問題(y軸の意味で難しい)は、たとえ正答率が低くとも、x軸の意味で簡単であれば、Aランクとすべきです。
y軸の意味で難しいとはどういうことか
前編を思い出していただきたいと思います。問1は肢の正誤を述べさせる問題でした。問6は本試験と同様の形式になっていますが、こちらも肢の正誤を述べさせる問題です。一方、問2~問5は、肢の正誤ではなく、テキストの内容に書かれていることの一部をそのまま述べさせる問題でした。
問2~問5(テキストの内容に書かれていることの一部をそのまま述べさせる問題)の知識を使うと、いくらでも肢を考えることができます。試験委員や答練を作る立場に立って考えてみてください。問6(本試験と同じ形式の問題)を作り出すのも簡単なことです。
では、問1問6(肢の正誤を述べさせる問題)から問2~問4(テキストの内容に書かれていることの一部をそのまま述べさせる問題)の知識を復元し回復することができるでしょうか?不可能に近いです。回復するには、信じられないような莫大な数の肢が必要になり、おそらく人間の記憶力の限界を超えてしまうでしょう。
この莫大な数の肢の何パーセントを過去問でカバーできるでしょうか?
この莫大な数の肢の何パーセントを答練でカバーできるでしょうか?
とてつもなく低い数値になると思います。
そして、重ねてになりますが、これは民事訴訟法の「書面ですべき訴訟行為」という論点の試験範囲全体のほんの一部に過ぎません。
他の分野でも、同じことが言えるのです。
既に私は逃切点を取るには、過去問の知識だけではダメで、未出の肢を正解できる必要があることは既に述べました。
ところで皆さんの中には、合格ゾーンと同じ厚さのオリジナル問題集を作り、過去問と同じ数の未出の肢を過去問と合せて全部正解できるようになれば、合格できるのではないか?と考えたことがある方がいるかもしれません。
残念ながら無理です!
既に述べたように未出の肢は無数にあるからです。仮に合格ゾーンと同じ厚さのオリジナル問題集があったとして、その無数の肢の何パーセントをカバーできるでしょうか?
合格ゾーンの倍の問題集を使おうと、何の解決にもなりません。
だから、合格ゾーンと同じ厚さのオリジナル問題集は存在しないんです。意味が無いですもん。
「合格ゾーンと併せて使えば必ず合格できる合格ゾーンと同じ厚さのオリジナル問題集!」そんなものがあるならマジックアイテムもいいところです。
司法書士試験の第一関門
ここまで見てきた方はもうお分かりいただけたでしょう。
司法書士試験の難しさは色々とありますが、そのうちの第一関門と言える最大のポイントは「本試験で出題される問題形式と、普段解かなければならない問題の形式が根本的に異なる。」ことです。
即ち、本試験で出題される問題が正誤を判断させる問題だからと言って、それと同じ形式の問題を解き続けていても合格に近付けません。y軸の意味で難しい問題を解く必要があります。
ここに気付けない限り、勉強方法を根本的に誤ります。ここさえわかれば勉強方法を大枠で外すことはありません。
言い方は悪いですが「ベテラン受験生」の多くは、ここを誤ったのではないでしょうか?私はそのように考察します。
例えば、ベテラン受験生の方で、過去問と答練をひたすら解き続けるというやり方をして基準点にすら達していない方がいるとお聞きしたことがあります。
そういう方は、勉強につぎ込んだ時間は十分なのでしょうが、勉強方法を誤っており、無効な勉強をしていると言えます。y 軸の意味で難しい問題を解かない限りは合格に近付けません。
コメント