質問:記述の雛型集は必要だと思いますか?
peing.net の質問に回答させていただきます。
ご質問いただきありがとうございます!
文字数が多くなるため、こちらでの回答となりますが、ご了承ください。
参考記事
雛型集には2種類ある
記述の雛型集には2種類あります。
それは、読むだけのテキスト形式のものと、問題集形式のものの2種類です。
読むだけのテキスト形式のものとしては次のような雛形集があります。
- オートマシステムの雛型集
- 雛形コレクション(海野禎子先生 著)
問題集形式のものとしては次のような雛形集があります。
- ケータイ司法書士の記述式
- 解法パターンで学ぶ書式80(蛭町浩先生 著)
雛型集を使う時期
雛型集を学習に使う時期として2つのタイミングが考えられます。
- 記述の学習を始めた直後
- 記述の基本的な論点を学習し終えた後
どちらの時期で使うかによって使うべき雛型集が変わってくると考えています。
雛型の暗記の必要性
そもそも、雛型の暗記が必要かどうか?ということからして議論になることが多いです。
必要無いと考える立場の人は、次のような主張をします。
- 雛型は問題を解いていくうちに自然と覚えるものであり、個別に雛型を暗記する必要はない。
- 昔の司法書士試験では雛型をそのまま書かせる問題もあったが、最近の司法書士試験では実体的な判断がメインである。
私は、これとは逆で雛型の暗記は必要だと考えています。
問題を解いていくうちに自然に覚えると言っても、雛型が頭に入っていない状態では、全く解けません。白紙になってしまうこともあると思いますがそうするとモチベーションが著しく低下します。練習の際は、少々間違えても良いので、何か書きたいものです。
事実、私自身がオートマシステムの記述式をメインに使って合格していますが、初めオートマシステムの記述式を解いた時は全く解けずに白紙になってしまい、模範解答をそのまま写していたのを覚えています。
これではモチベーションも下がりますし、こんなんで本当に合格できるのか?と不安になりました。
また、最近の司法書士試験では実体的な判断がメインと言っても、マイナーな雛型が出題され、それに高得点が割り当てられていたと考えられる年(平成26年度)もあります。
フィーリングで書けとは言っていますが、信託抹消登記の雛型を1度でも見ていた人は書けても、1度も見たことが無い人は書けないというように差が付いたかもしれません。
以上から、雛型の暗記は必要だと考えます。
雛型集の必要性
あくまで私の意見になりますが、読むだけのテキスト形式のものは必要ないが、問題集形式のものは必要だと思います。
この記事を見てください。
使用した教材のリストの中に、読むだけのテキスト形式の雛型集は含まれていません。
しかし、問題集形式のものは使用しています。「解法パターンで学ぶ書式80」がそれです。
既に述べた通り、初めオートマシステムの記述式を解いた時は全く解けずに白紙になってしまいました。これに対処するために雛型を暗記する必要があると考え、「解法パターンで学ぶ書式80」を買い足したのです。
この学習方法は実際に有効で、「解法パターンで学ぶ書式80」を2周ぐらい解いた後に、オートマシステムの記述式を解いたところ、白紙ではなくなりました。それでも、正解とは程遠い答案を書くことになるのですが、白紙よりはモチベーションが上がります。
現在は、ケータイ司法書士の記述式という教材もあり、「解法パターンで学ぶ書式80」とどちらを使うかは好み次第です。
以上から、「記述の学習を始めた直後の段階」で、問題集形式の雛型集を使用して勉強することは必要だと考えます。「記述の基本的な論点を学習し終えた後」は、基本的な雛型を忘れるということは無いため、ケータイ司法書士の記述式や「解法パターンで学ぶ書式80」の重要性は落ちると考えます。
一方、私自身が使用しなかったので断言はできないのですが、「記述の学習を始めた直後の段階」で、読むだけのテキスト形式の雛型集は必要無いと思います。
理由は2つあります。
- 読むだけでは頭に入りにくい。問題を解くことで初めて身に付くと考えられる。
- オートマシステムの雛型集に記載されている雛型のほとんどは、オートマシステム択一式にも記載がある。
特に後者の理由により、少なくとも私の意見としてはオートマシステムの雛型集はあまりお勧めできる教材ではありません。これを使うぐらならもう1回テキストを読み込めばよいと思います。どうしても雛型の部分だけをチェックしたい場合は、雛型が記載されているページに付箋を貼っておけば良いでしょう。
もっとも、オートマシステムの雛型集を利用した合格者の方がいるとは聞いたことがありますし、そういう方にとってはオートマシステムの雛型集があったからこそ合格できたということになるでしょうから、あくまで個人の意見です。
読むだけのテキスト形式の雛型集は必要ないのか?
読むだけのテキスト形式の雛型集は必要とまでは言えないと思っているのですが、「記述の基本的な論点を学習し終えた後」では有用ではないかと思います。
択一式で十分に逃げ切り点を取れるという余裕があり、オートマシステムの記述式も完璧にできていて、やることが無くなった人にとっては、読むだけのテキスト形式の雛型集が有用で、特に情報を広く網羅している雛形コレクションのような雛型集を読むと良いと思っています。
実は、雛形コレクションには信託登記の雛型が記載されていました。
既に述べた通り、平成26年度は信託登記の雛型が出題され、それに高得点が割り当てられていたのではないかと考えています。
ここで、雛形コレクションを1度でも読んでいれば書けたが、読んでいなかったら書けなかった、という人がいた可能性が無くはありません。
このように、情報を広く網羅している雛形集は、読むだけのテキスト形式のものであったとしても、未出の論点を拾うのに使うことができます。
以上から、「記述の基本的な論点を学習し終えた後」なら、情報を広く網羅しているものであれば、読むだけのテキスト形式の雛型集は有用という可能性があります。
念のためですが、雛形コレクションについて私は未使用です。「エアプ発言」であることをお断りしておきます。
最後に
択一式で十分に逃げ切り点を取れるという余裕があり、オートマシステムの記述式も完璧にできていて、やることが無くなった人にとっては、読むだけのテキスト形式の雛型集が有用と述べましたが、優先度はそこまで高くないと思っています。
条文を読んで択一式をより完璧に近づけるか、答練を受けて記述の未出の論点に対策すると言った選択肢もあります。既に述べた通り、読むだけでは頭に入りにくいと考えられるため、読むだけのテキスト形式の雛型集を読むよりは、答練を受けた方が良いかもしれません。
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