こんばんは。九条です。
先日はアンケートにご投票いただきありがとうございました。以下、アンケートの結果です。
アンケート内容「司法書士試験が仮に延期(または、中止)された場合にどういう勉強をすればいいか?という記事を書こうかと思うのですが、需要ありますか?」
【アンケート】司法書士試験が仮に延期(または、中止)された場合にどういう勉強をすればいいか?という記事を書こうかと思うのですが、需要ありますか?
— 九条@資格試験アルティメット合格方法論 (@KyouzaiDesign) 2020年4月15日
- 得票数:37票
- ある:73%
- ない:27%
37票と想定以上にたくさんの投票を頂きました。ありがとうございます。
まだ延期も中止も決まっていませんが、需要はかなりあるようなので記事にさせていただきます。
それでは今回は、司法書士試験が仮に延期(または、中止)された場合にどういう勉強をすればいいか?ということを見ていきます。
参考記事
延期(または中止)された場合は難化する可能性がある
参考記事で述べていますが、令和2年度司法書士試験が中止された場合、次回は難化する可能性があります。また、記事中では言及していませんが延期の場合も同様です。
これは、令和2年度の受験に向けて準備している受験生に、更なる準備期間が与えられるためです。
また、この他にも試験を難化させる要因があります。それは、受験会場が集約されることです。お試し受験生の数が減るにもかかわらず、合格率は変わらないのですから、競争が激化します。
そのため、管理人は、合格に必要な最低限の点数を取ればいいやと考えるのではなく、択一 33/33 を狙いに行くべきではないか?と考察しています。
司法書士試験の事実上の満点
私が受験していた頃は、択一逃切に必要な点数の目安が 30/30 で、事実上の満点が 33/33 前後だと言われていました。
事実上の満点が 33/33 前後なのは、毎年必ずと言っていいほど、4問程度は絶対に正解できないか、完全に運頼みになるような奇問が出題されるからです。
※現在は、司法書士試験の択一式の基準点が下がっていることから、択一逃切に必要な点数の目安も 30/30 より低くなっていることが考えられます。あくまでこれは私が受験していた頃の目安です。
上位合格を狙うことの必要性
「プロフィール」に記載の通り、私は択一 33/30 で合格しています。
参考記事で述べているように、この点数で合格することを狙っていたわけではなく、実際には 33/33 を、もっと言えば全国1位合格を狙っていました。
※私は問題の解釈間違いや、凡ミスで3問失点しまいました。こうしたミスが無ければ 35/31 で合格していたと思います。そのため、事実上の満点が 33/33 前後であるというのは、正しいと思っています。
実際には上位合格と言える点数で合格はしているものの、全国1位ではありませんでした。
私は、単に、自己満足のためだけに全国1位を狙っていたわけではありません。
参考記事で述べているように、司法書士試験はギリギリの合格を狙ってしまうと運の要素が絡む場合があるのです。
例えば、尋常じゃなく難しい問題を連発されてしまうと、ちゃんと勉強している人(いわゆるCランクの知識まである人)とそうでない人の間で大きな差が付くことになります。また、個数問題が多いと点数に実力が正しく反映されずに、むしろ知識が少ない人の方が合格してしまう可能性があります。
個数問題が多いと点数に実力が正しく反映されない理由は、肢の正誤判定を1つ誤ると不正解になるのに対し、実力の低い人が2肢誤るとまぐれ当たりしてしまうからです。
平成26年度がまさにそういう年でした。尋常じゃなく難しい問題や個数問題が非常に多かったのです。
そのため、確実な合格を期するなら、単に合格するだけでなく、上位合格する実力が必要だと考えていました。
全国1位を狙うのは自己満足の領域になってしまいますが、少なくとも上位合格を狙うことを読者様にはお勧めしておきたいです。
ここで言う上位合格とは全国 200 位以内程度を指します。
今回は、難化することが予想されますから、上位合格を狙うことの必要性は、平時よりも更に増しています。
手を広げ過ぎない
とはいうものの、まだテキストの読み込みや過去問のやり込みが不十分だという方もいるかもしれません。
司法書士試験は直前期に手を広げすぎてはいけないと言われます。
もう少し具体的に言うと、直前期になるまでにどこからどこまでを完璧にやるのか「射程」を定め、直前期には射程範囲に集中すべきだということです。
私もこの考えには賛成しています。
まだテキストの読み込みや過去問のやり込みが不十分な方は、上位合格にこだわるのではなく、自分で決めた「射程」範囲をやり込むことに集中してください。
しかしながら、今回はイレギュラーです。仮に司法書士試験が延期されるとした場合は、先に述べた通り受験生に更なる準備期間が与えられます。
この場合、既にテキストの読み込みと過去問のやり込みが十分な人は、現状維持ではなく、手を広げるべきだと考えています。
場合分けして考える
とはいうものの、全ての受験生が手を広げるべきだとは思えません。
場合分けして考えてみます。
- 合格レベルではない(模試で合格判定が出ない。)
- 33/33 を狙えるレベルである
- 33/33 未満から 30/30 を狙えるレベルである
合格レベルではない
この場合は、手を広げるべきではないと考えます。
試験までに自分で決めた「射程」にあることを完全にこなすことを目標とすべきです。
33/33 を狙えるレベルである
この場合も、手を広げるべきではないと考えます。
上位合格できる成績であり、現状を維持することでも十分に合格できます。
33/33 未満から 30/30 を狙えるレベルである
この場合は、手を広げるべきです。
この実力では、かなり運が悪いと不合格になってしまう可能性があります。先に述べた通り 33/33 を狙うことでより確実な合格を期することができます。
多くの予備校は、直前期に手を広げるべきではないと指導しますが、今回はイレギュラーであり、この場合に限り手を広げるべきだと考えます。
この記事では、手を広げる場合に具体的にどう広げればいいかを見ていきます。
30/30 を狙える人は続きを読んでぜひ実践してみてください。逆にそれ以外の方は無視してください。
どう手を広げればいいか
では、手を広げる場合にどういう行動をすればいいか、具体的に説明させていただきます。
以下に挙げることを全部実践するのは難しいと思うので、各自好みに合わせて選んだり、組み合わせたりしてみてください。必ずしもお勧めの順位で記載しておりません。いずれも同立1位です。
ここから先のお話は択一に限ったことではなく、記述に関することも扱います。
- 肢別過去問題集を合格ゾーンにアップグレードする
- テキストを買い足す
- 問題集を買い足す
- 実務書を読む
- 条文を読む
- 記述式の答練を受ける
肢別過去問題集を合格ゾーンにアップグレードする
過去問題集を肢別で妥協している方がいるかもしれません。そういう方は合格ゾーンに切り替えることが考えられます。
他の記事も見た方はご存じだと思いますが、私はテキスト読み込み派だとは言え、過去問もかなり重要視しています。
過去問既出の肢はやはり落とせません。
肢別過去問題集にはいくつか欠点があります。
それは学説問題や登記記録問題の網羅性が低いことと、肢の絞り込みが適切ではない可能性があることです。
肢別問題集は合格ゾーンのような本番形式の過去問題集から、講師が些細だと考えた肢を切り捨てて作られているのですが、この切り捨ては講師の受験センスに依存しており、本試験に出題される可能性のある肢が切り捨てられている可能性があります。
肢別過去問題集を合格ゾーンにアップグレードすることにより、学説問題や登記記録問題への対応が可能ですし、些細な既出の肢を拾っていくことができます。
もっとも、このお話は科目にもよります。民法や不動産登記法は本番形式の過去問題集の使用をお勧めします。しかし、私は、オートマシステムと必出3300選を使用している場合は、刑法/憲法については過去問題集自体必要ないという考えをもっています。(この記事を参照)
テキストを買い足す
テキストを買い足すと言っても、オートマシステムやデュープロセスを買い足すという話ではありません。メインテキストは1種類に絞るべきだと思います。
ここでお勧めしたいのは、特に独学者向けに「オートマプレミア」です。
私はこの教材を使用しなかったため、「エアプ発言」となることをご了承ください。
「オートマプレミア」はテキストも過去問も終えてしまった人が追加でやる教材というコンセプトで作られており、このような状況下で、オートマシステムをメインテキストに採用している方には最適な教材ではないかと思います。
オートマシステムで割愛されている情報に絞って記載されている可能性があり、そうだとするとオートマシステムを利用している人には大変有用な教材です。
また、管理人は未読ですが、この記事で述べているように、海野先生の雛形コレクションを買い足すのも記述対策として有効かもしれません。
問題集を買い足す
このような状況下で買い足す問題集として、お勧めのものが3シリーズあります。
- 出るトコ
- 直前チェック
- オートマシステム<記述式>
出るトコ
私は未使用なのですが、合格者にはこの教材を絶賛する方が数多くいます。
これは、オートマシステムと同じ山本先生が作成した教材でオートマプレミアと同じく上級者向けの教材という位置付けです。
肢別問題集の形式になっていますが、過去問ではなく、山本先生のオリジナル問題集です。
テキスト形式のオートマプレミアと問題集形式の出るトコのどちらを選ぶかは好みの問題でしょう。
山本先生を妄信するわけではありませんが、オートマシステムは非常に優秀な教材であり、出るトコも非常に期待が持てる教材です。少なくとも、誰が作ったかも分からない(最悪、不合格者のバイトが作っているかもしれない)答練を解くよりはよほど役に立つと思います。
ただし、正誤を判定させるだけの問題集には欠点もあります。同じ問題が本試験にそのまま出題されることを期待して学習してしまう可能性があるという問題があります。随所で述べていますが、これは最悪の学習方法です。
このような、正誤を判定させるだけの問題集を使う場合には工夫が必要です。具体的には次の通り。
- 間違えたところは絶対にテキストで復習する。
- 頭の中で肢の一部の文言を変更しても同じ結論になるかを考える。
- 頭の中で肢を参考にしてオリジナルの問題を作ってその正誤を検討する。
- 肢の一部をチェックテープで塗りつぶして、他に当てはまる言葉が無いかを検討する。
こうした工夫の仕方については後程記事にします。
直前チェック
これは、y軸の意味で難しい問題を固めた問題集です。
個人的には最強の問題集ではないかと思うのですが、いかんせん難易度が高すぎて書学者にはお勧めできません。正直、ここまで難しくする必要はないだろう?と思ってしまいます。
これは、択一式よりもむしろ記述式で点を取りたい人にお勧めの教材です。
記述式で点を取るためには、択一式を迅速に解いて十分な時間を持って臨む必要があります。そのためには、このような y軸の意味で非常に難しい問題を解いておくことで択一式の知識の精度を限界まで高めておくという学習方法が有効なのではないかと思います。
この教材は非常にボリュームがあるので、全部をこなすことは無理かもしれません。買い足すとした場合、苦手な科目に限って買い足す等、絞り込みを行うことがお勧めです。
オートマシステム<記述式>
独学者はほぼ全員がこれを使用していると思われますが、予備校生が買い足すにはお勧めです。
もしも、オートマシステム<記述式>に記載があるにもかかわらず、予備校の教材が網羅できていない論点があった場合、出題されると独学者との間で大きな差が付く可能性があります。
この問題集にゼロ減資の論点が記載されていますが、平成25年度はこの論点が出題され、オートマシステム<記述式>をやっている人とそうでない人の間で大きな差が付いたと言われています。
要するに、誰もが使用している教材なので、この書籍に載っていることは「落とせない論点」であるということです。
実務書を読む
これは管理人が実践しなかった方法なので、「エアプ発言」です。
司法書士試験では原則として実務書を読む必要はありません。合格者の多くは実務書なんて読んでいませんし、読んでいる合格者でも必要無かったと主張することが多いです。
しかしながら1冊だけ、合格者の方でも、余裕があれば読んだ方が良いのではないか?と主張する実務書があります。
それは「商業登記ハンドブック」です。
少なくとも講師はこの書籍を読んでいます。
条文を読む
同立1位だと述べましたが、個人的に優先度が高いです。条文は 0.8 位ぐらいだと思います。
条文の有用性を否定される方もいますが、個人的に条文は有用な教材です。
ただし、科目に依ります。以下、特に条文が重要だと思われる科目を挙げます。
- 民法
- 会社法
- 民事訴訟法
- 憲法(統治機構)
条文の読み方にはコツがあります。それは、後程記事にしようと思います。
なお、お勧めの六法は「判例六法」です。これは条文と判例が色分けされており、非常に見やすいです。
登記六法を推す方もいますが、明らかに試験には出ないようなことも網羅しており、受験対策としては効率が悪いと思います。
以下、特に条文が重要だと思われる科目について考察していきます。なお、これらは私が受験していた頃の知識に基づいており、現在は環境が変わっている可能性があります。その場合は対策としてはあまり有効ではない可能性があることをお断りしておきます。
民法
民法については、「更改」や「組合」の論点がここ30年程度で2回ほど出題されているにもかかわらず、ほとんど記載していないテキストがあります。
こう言った、過去問の出題実績はあるのにテキストに記載されていない分野を学習するのに条文が有効です。
会社法
会社法は条文を読むことで理解が進む科目です。
また「新株予約権」や「社債」の論点は頻出であるにもかかわらず、テキストに記載されていない条文が多数あります。こう言った分野は条文を読むことで点数を伸ばせる可能性があります。
なお、「組織再編」については条文を読む必要はありません。明らかにテキストを読んだ方が分かり易く、条文を読むくらいならもう1回テキストを読んだ方が良いです。
民事訴訟法
「再審の訴え」のような論点がテキストに記載されていないにもかかわらず、本試験で狙われる可能性があります。
私は「再審の訴え」が出題される可能性を警戒して条文を読んでいました。しかし、平成27年度の民事訴訟法は簡単で、「再審の訴え」は出題されませんでした。
※何故、「最新の訴え」を警戒していたかについて説明させていただきます。少々分かりにくいお話なので読み飛ばしていただいても構いません。
平成25年度に、文書提出命令に関するどのテキストにも記載されていないような非常に些細な肢が出題されました。この問題は組み合わせ問題だったため、この肢の正誤が分からなくても解けました。
そして、翌年の平成26年度に、平成25年度とは異なる文書提出命令に関する非常に些細な肢が再度出題されたのです。これは平成25年度に出題された肢とは異なるとは言え、文書提出命令の条文を読んでおけば正解できる問題でした。
更に、平成26年度に「再審の訴え」に関する非常に些細な肢が出題されたのです。この時も、組み合わせ問題だったためこの肢の正誤が分からなくても解けました。
そのため、これまでの傾向から言えば平成27年度に、条文を読んでおけば正解できるような「再審の訴え」に関する非常に些細な肢が出題される可能性は十分にありました。
憲法(統治機構)
条文がそのまま出題される可能性があります。多くの条文はテキストに記載されていますが、条文を読んでおくことでより確実に正解できる可能性があります。
記述の答練を受ける
私は、択一式の答練の必要性については懐疑的であり、合格には必要ではないのではないかと考えているのですが、記述式の答練は受けた方が良いと思っています。
記述については、オートマシステム<記述式>と過去問で試験範囲の8割~9割を押さえることができるのですが、これらに記載されていない未出の論点が出題され、それが合否の分水嶺となる可能性があります。
平成25年度のゼロ減資や平成26年度の信託登記や平成26年度の組織変更や平成27年度の根抵当権の申請人のように、未出あるいは、記載しているテキストが少ない論点が勝敗を分けたと考えられる年度があります。このような論点に対処するには、答練を受けておくことが有効だという可能性があります。
ただし、オートマシステム<記述式>のような基本的なテキストに掲載されている論点を完璧にできていることが前提です。
この目的で答練を使う場合、自己採点で十分です。伊藤塾さんが自己採点形式の答練を実施していたと思いますが、そういう講座で問題ありません。
あくまで、未出の論点を拾うことが目的なので、時間を測る必要も無いでしょう。時間を測りながら解くと疲れます。ゆったりしながら1回解けば十分です。もしも、間違えたら入念に復習すれば良いのです。また、細かいミスを気にしすぎる必要も有りません。あくまで未出の論点を拾うことが目的です。
あえて挙げなかったこと
択一の答練を挙げていません。
随所で述べていますが、択一の答練については合格に必要無いのではないかと考えています。
むしろ、この記事に書いたように択一の答練を盲目的に受け続けるのは危険ですらあると思います。
記述の答練を受けると、択一の答練も付いてくるわけですが、これは必ずしも解く必要はありません。不要だと思えば捨ててしまえばよいのです。
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