【司法書士試験】テキスト読み込み派?過去問やり込み派?

Q and A
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こんにちは。九条です。

今回は、テキストの読み込みと過去問のやり込みのどちらが重要かについて触れていきたいと思います。

司法書士試験にはいわゆるテキスト読み込み派と過去問やり込み派の二通りの勉強方法が存在します。

peing.net の方でもこんな質問がありました。

質問:勉強でテキストと問題集どちらを重視していましたか?

これに対する回答も兼ねた記事になっています。

前提

質問文にある問題集とは、直前チェックのような y軸の意味で難しい問題集や答練のことではなく、過去問題集のことだという前提で話を進めさせていただきます。

また、オートマシステムは過去問を多数引用していますが、その過去問は含めず、問題集というと純粋な過去問題集のことを指すという前提で話を進めさせていただきます。必出3300選の左ページやケータイ司法書士の右ページの過去問も問題集に含めません。

本記事では、特に断りが無い限り、択一式のお話をします。記述の過去問については後程記事にさせて頂きます。

テキストと過去問の片方しかやらずに合格したという話は聞いたことがありません。テキスト読み込み派でも過去問を全くやっていないということはありませんし、逆も然りで過去問やり込み派でもテキストを全く読まないということはありません。

どちらが良いのか?

テキスト読み込み派と過去問やり込み派のどちらも合格者を出している以上、どちらが絶対に正しいということは有りません。

しかし、色々な合格体験談を読んでみたところ、択一逃切で合格した人の多くがテキスト読み込み派でした。一方、過去問やり込み派は記述挽回した方に多いという印象を受けました。

(参考記事:「足切」「総点落ち」「上乗せ」「択一逃切」「記述挽回」とは何か?

この理由については現在考察中です。

管理人の場合

私はテキスト読み込み派です。

そして、記述挽回ではなく択一逃切です。

しかし、過去問をまったくやらなかったわけではありません。

この記事に記載の通り、科目によっては合格ゾーン(30年分以上網羅)を10~15回ぐらいやっています。人によっては過去問をかなりたくさんやっているように思えるでしょう。

合格者なら両方やる

テキストと過去問の片方しかやらずに合格したという話は聞いたことがありません。

合格者は両方やっています。

そもそも、過去問だけでは、択一基準点にすら届かないという客観的なデータがあります。

松本雅典先生の動画を引用させていただきます。

なので、過去問やり込み派と言っても完全に過去問だけで合格しているわけではありません。また、過去問の肢の正誤だけを覚えるという学習方法はしていないと思います。過去問やり込み派を自称する人でも解説をしっかり読んで周辺知識まで押さえることで、未出の肢に対策していると思われます。

また、理由は後述しますが、テキストだけで合格するのも不可能に近いと思います。

私が受験生時代に参考にさせて頂いた@40さんも、強度のテキスト読み込み派ですが、過去問は解いています。(この記事を参照)

以上から、これはテキストと過去問にそれぞれ勉強時間を何割ぐらい割り当てるかという比率の問題となります。

但、過去問自体は解いても過去問題集は使わないという学習方法ならあり得ます。この記事で述べた通り、私は刑法/憲法では過去問題集自体が必要無いと主張しています。これは、オートマシステムと必出3300選が十分な過去問を引用しているからであり、個別に過去問題集を解く必要が無いからです。

お勧めの比率はあるか?

これは各個人の置かれている状況によって異なります。

先に述べた通り、オートマシステムと必出3300選は十分な過去問を引用していますので、このような教材を利用している場合は過去問の重要性が下がります。逆に、過去問を全く引用していないテキストをご利用の場合は、過去問題集を個別に準備することが必須となります。

さて、私の比率について説明させていただきます。具体的に勉強時間を測ったわけではなく、フィーリングを含む記載となります。この他に条文(六法)も使っていますが、条文は含めていません。

  • オートマシステム:35%
  • 必出3300選:35%
  • 過去問題集:30%

7割はテキスト、過去問題集は3割程度だったことになります。

実際に択一逃切で合格していますし、私は択一が得意だったので、この比率で勉強方法に大きな間違いはないと思います。

先に述べた通り、最適な比率は使用している教材に依存します。これはオートマシステムと必出3300選をテキストに選んだ場合の解であることに注意です。

何故、過去問をやるのか?

今まで見てきたように、司法書士試験ではテキストの方が重要なのですが、それでも過去問はやらなければなりません。

何故、過去問をやらなければならないかについても述べたいと思います。

理由は3つあります。

  • 暗記の妥協点を探す。
  • テキストに無い知識を拾う。
  • テキストを読むだけでは見落としてしまう知識を炙り出す。

暗記の妥協点を探す。

この記事を読んでください。

私は、司法書士試験における理想の学習方法はテキストの内容をすべて何も見ずに言えるようになることだと述べました。しかし、それは現実的ではなく、多くの人は、合格者であっても妥協しています。

そこで、どのように妥協するかの指針を示してくれるのが過去問です。

たしかに y軸の意味で簡単な、肢の正誤を判断するだけの問題を何も考えずひたすら解いているだけでは、問5(会社の解散原因)、問6の1(募集株式の発行について全ての論点を説明)のような問題には正解できません。これでは本試験で未出の問題を誤ります。

しかし、過去問を解くことで、過去問の傾向を精査し、情報網羅率の高いテキストを参照しながら学習していけば、問5(会社の解散原因)、問6の1(募集株式の発行について全ての論点を説明)のような問題を自作することができるのです。

と、述べました。

言い替えれば、知識に濃淡を付けて覚えるべきであり、この論点は完全暗記すべきだなとか、この論点はテキストを読むだけで良いなとか、判断するために過去問を解くのです。

例えば、民法は読むだけで良い分野が多いのですが、商業登記法の役員就任の印鑑証明書の論点は条文を一字一句間違いなく言えるようにする必要があります。

過去問をやり込むことで、そう言うことが視えてくるのです。

予備校を利用している場合は、講師がこのような作業を肩代わりしてくれるかもしれませんが、独学の場合はこのような勉強方法がほぼ必須となります。

テキストに無い知識を拾う。

オートマシステムも必出3300選も、良くも悪くも知識が絞り込まれた教材です。

そのため、過去問既出であるのに、これらの教材には記載が無い知識がかなりあります。(それでも、これらの教材をやり込むだけで合格ゾーンの問題の95%以上は正解できてしまいます。)

例えば、更改の論点は過去問既出ですが、オートマシステムにはほとんど記載が無く、必出3300選には全く記載がありませんでした。しかし更改の問題は平成26年度に出題され、しかも過去問既出だったのです。(5肢中2肢が過去問既出であり、既出の肢を正誤判断できれば正解にたどり着くことができました。)

これは過去問をきっちり解いておけば正解できたことになります。

択一基準点を超えた後、逃切を狙う場合は、このような細かい知識が勝敗を分けることがあります。

テキストを読むだけでは見落としてしまう知識を炙り出す。

この記事で述べていますが、オートマシステムでは重要な情報が、コラムのような目立たない場所に配置されていることがあり、テキストを何度読み込んでも知識を見落としてしまい、いざ問題として出題されてみると、テキストに記載の知識のみで解けたはずなのに、実際には解けないということがあります。

この良い例が、平成26年度の工場抵当の論点です。これはオートマシステムに記載があったのですが、私はオートマシステムを熟読していたにもかかわらず、初見でこの問題を間違えてしまいました。

しかし、この論点は過去問既出でした。

過去問の肢がそのまま焼き直して出題されていたわけではありませんが、過去問を解いておけば一度間違えるでしょうから、過去問を解いて間違えた上で、工場抵当の論点を入念に復習しておけば、間違うはずが無かった問題です。

この他、平成26年度の相続放棄の論点も同様です。相続放棄の期限の例外はテキストに記載があったのですが、コラムに記載されており、テキストを読んでいる時は重要な知識だとは思いませんでした。しかし、平成26年度に出題され、しかも過去問既出だったので、過去問をきっちり解いておけば正解できる問題でした。

択一基準点を超えた後、逃切を狙う場合は、テキストを読むだけでは身に付きにくい論点の知識が勝敗を分けることがあります。

テキスト読み込み派の強み

これについては説明の必要はないかもしれませんが、一応言っておくと、合格に必要な未出の知識をダイレクトに拾えることにあります。

現実的ではないと述べましたが、テキストの内容をすべて何も見ずに言えるようになるという最終到達地点を目指すなら、必然的にテキスト読み込み派の学習をすることになります。

これは、テキストが未出の知識まで含めて、試験範囲を完全に網羅していることが前提です。オートマシステムと必出3300選を使用している場合は、完全なるテキスト読み込み派の学習は無理で、ある程度は過去問をやり込む必要が出てきます。予備校を利用している場合は、試験範囲を完全に網羅しているテキストが手に入る場合もあるでしょうから、テキスト読み込み派に強く寄せた学習が可能だと考えられます。

過去問やり込み派の強み

過去問やり込み派にも強みがあります。

というのは、司法書士試験は過去問だけでは択一基準点にすら届かないとしても、過去問を焼き直した問題や、過去問の周辺知識まで押さえていれば正解できる問題が数多く出題されるからです。

予備校は論点にAランク~Cランクを付けることがありますが、この判定基準は過去問の出題頻度を考慮していると考えられ、過去問やり込み派の場合は、試験に出た場合に絶対に落とせないAランク問題を優先して学習することができます。

私はやっていませんが、過去問に条文(六法)を組み合わせる学習も有効だと思います。

具体的には、過去問で既出の肢となった条文(六法)に印を付けていきます。そうするとある分野でほとんどの条文が既出だが、ちらほらと未出の条文があるという状況が見えてくることがあります。

例えば、平成26年度に請負契約で未出の条文が出題されましたが、この条文以外の他の条文はほとんどが既出だったのです。

この請負契約の問題は、過去問に六法を組み合わせる学習をした上で、未出の条文を警戒して暗記しておけば正解できたことになります。

余談ですが、答練の作問者はこのようなやり方で作問していることが考えられます。つまり、この学習方法は、答練の作問者の立場に立った学習方法ができるというわけです。

以上から、ヤマを張るような学習に過去問やり込み派は向いていると言えるかもしれません。

ただし、先に述べた通り過去問やり込み派でも本当に過去問だけをやって合格しているわけではありません。テキストの読み込みにかけた時間の比率が低いだけで、テキストの読み込み自体はやっていると思われますし、解説を読んだり、六法と組み合わせたりと言った工夫もしていると思われます。

まとめ

テキストの読み込み派と過去問やり込み派のどちらも合格者を出しており絶対の正解はありませんが、択一逃切の方にはテキスト読み込み派が多いという印象を受けました。

管理人はテキスト読み込み派で、7割はテキスト、過去問題集は3割程度でした。これで択一逃切を取れています。

過去問をやるべき理由は次の3つです。

  • 暗記の妥協点を探す。
  • テキストに無い知識を拾う。
  • テキストを読むだけでは見落としてしまう知識を炙り出す。

テキスト読み込み派の強みは、合格に必要な未出の知識をダイレクトに拾えることです。

過去問やり込み派の強みは、Aランク問題を優先して学習することができることと、ヤマを張るような学習に向いていることです。

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