【司法書士試験】記述の具体的な解法 – 基本編

司法書士試験
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こんにちは。九条です。

今回は記述の具体的な解き方について記事にします。

前回は具体的な勉強方法について扱いました。今回は答案構成用紙をどう使えば良いのか?と言ったような記述の解き方を解説します。

注意事項として、私は合格してから数年経過していますし、その間、司法書士試験の勉強はろくにやっていません。特に記述なんて、本試験で解いたのが最後です。そのため、記憶にほころびがあるかもしれず、その点でああまりアテにならないと言うことは最初にお断りしておきます。

また、記述は最近では出題傾向に変動があると思われ、そういうものを無視しての情報となりますので、その点でもあまり参考にならない面があるかもしれません。

それから、これも最初にお断りしておきますが、私は記述が苦手です。択一はともかくとして記述は私のやり方を参考にするよりは、講師のやり方を参考にした方が良い結果を出せるかもしれません。

参考記事

【司法書士試験】独学での記述の具体的な勉強方法

平成27年度本試験問題紛失なう

実は、私は答案構成用紙をほぼ使用せず、問題用紙に書き込みをするという方法で解いていました。そのため、問題用紙の現物を写真に写してお見せするのが一番参考になるかと思ったのですが、数年前のことですので、問題用紙を紛失していることが発覚しました。

そこで、本記事は「基本編」として、問題用紙の現物を使わずに文章でお伝えします。問題用紙が見つかり次第、「実践編」という記事を書いて写真を投稿したいと思います。

つい最近、平成27年度の問題用紙は法務省のHPから削除されましたが、これについては簡単に発掘する方法があります。この発掘する方法については、需要があるようであれば、別の記事を書いて載せたいと思います。

場当たり的に解く

さて、具体的な解き方ですが、実はそれほどたいそうな解き方は確立していません。場当たり的に解いています。

問題を見るとき、どのような順序で観るかについて、様々手法が提案されていますが、私は「原則として」先頭から見ていき、必要に応じてその他の書類や聴取記録を参照するという方法を使います。

ちなみに私は、解き方を予め確立しておく「方法論」が好きではありません。理由は次の通り。

  • 問題形式が突発的に変更されたときに聴牌(テンパ)る。
  • 制限時間間際になると聴牌って、結局のところ方法論が壊滅する。

※テンパるという言葉は、パニックするという意味で使われていますが、元々は麻雀用語です。

しかし、それでも最低限、気を付けていることは有ります。

今からそれを述べます。ここから先は、特に断りが無い限り、不動産登記法と商業登記法に共通するお話です。

最初に何を見るか

2番目に読み1番目に見るもの

私は2番目に「問」を読みます。では、1番目は何かと言えば、答案用紙です。これは「問」を読む上で前提となる情報です。

なぜ「問」なのか?

これは、ありとあらゆる試験に言えることですが、問われていることが分からなければ話にならないからです。

例えば、私は小学生時代、算数で次のような問題を見たことが有ります。

10個のケーキが有ります、これを3人で平等に分けて食べます。ケーキは切って分ることができないものとします。幾つ余りますか?

この問題に私は正解できたのですが、クラスの人のほとんどが正解できませんでした。

なぜなら、他の人は余りではなく、商まで回答してしまったからです。

当然、次の解答が正解です。

答:余り1個

このように、まずは問われていることが何なのかが分からなければ話になりません。

そこで、司法書士試験に限らず、私は問の他に色々な情報が錯綜して現れる場合は、まずは問を見るようにしています。

司法書士試験における「問」の意義

不動産登記で「(申請不要)」を書かせる解答欄があるのかどうかには注目した方が良いです。それが無いのであれば、枠ズレをあまり警戒する必要が無くなり、むしろ、解答欄の数が正解を逆算する材料になるので、ずっと楽に解けるようになります。例えば、解答欄が2つあるにもかかわらず、1欄しか埋められないような回答を思いついたのであれば、名変登記が不足している可能性が高いと言えます。

これは非常に難しいのですが、問の優先順位を付ける意味合いもあります。これは長いのでまた別の機会にしようかと思います。

私はマーカーを打つのが嫌いですが(理由は後程説明します)、ここで申請日付にマーカーを打つことも考慮に入れます。なぜならば、申請日付よりも「未来」に発生した事象は絶対に登記できないからです。これは常に意識しておく必要が有ります。

商業登記でありがちですが、申請日付を間違えると致命的です。平成27年度に「株式交換」を書く欄を間違えたというお話も聞いたことが有ります。

3番目に読むもの

次に読むのは、「回答に当たっての注意事項」です。これは、問の一部だからです。これを読むにあたり「いつもと同じ」部分は考慮する必要がありませんが、いつもと違う部分が有るのであれば注意します。マーカーを打つことも考慮に入れます。

商業登記の代表取締役の住所を書く書かない等は、いつもと同じか違うかというよりは、毎回違うの注意しておきましょう。

※とはいうものの、代取の住所を書き漏らしたり、余事記載したとしても、大した減点にはならないと考えます。それよりも、1文字でも多く書く、ということに注力した方が良いという考え方も有ります。ところで、どちらがよりまずいかと言えば、余事記載の方です。余事記載した場合は、時間と言う貴重なリソースを浪費してしまいます。

次に何を見るか

(不動産登記法の場合)登記事項証明書

これは問いの次に重要で、問題を解く上での全ての前提となる情報が記載されている可能性が高いです。書き込みをする場合も、登記事項証明書に書き込みをすることになります。

(商業登記法の場合)登記事項証明書と定款

登記事項証明書を見る理由は不動産登記法と同じです。

定款は登記事項証明書の次に重要です。商業登記法の場合、定款が記載されているならば定款も見ておく必要があります。ここでも、「いつもと同じ」部分や「登記に影響しない条項」は考慮する必要がありませんが、いつもと違う部分が有るのであれば注意します。マーカーを打つことも考慮に入れます。

私が受験した平成27年度は定款そのものに加えて「定款の変更のビフォーアフター」が記載されていました。この場合、変更前の定款を見てその後に「定款の変更のビフォーアフター」を見ます。

ここから先は場当たり的で大丈夫

ここから先は場当たり的で構わないと思います。私は先頭から見ていき、必要に応じてその他の書類や聴取記録を参照するという方法を使いますが、人それぞれ方法を確立すれば良いと思います。ここから先には、私が考える「正解」はありません。

根源たる原理原則

場当たり的と言っても、まったく原理原則が無いわけではありません。

既に述べた通り、申請日付よりも「未来」に発生した事象は絶対に登記できないのです。そこで、問の申請日付を常に検討しながら問題を読み、申請日付より未来の事象が発生したら、一旦検討を打ち切ります。そして解答用紙に書き込みます。これで問に対応する欄が全部埋まります。問題文全体を最初から最後まで精読する必要はありません。

これの繰り返しで、問に対応する欄を埋めていきます。

例えば…

問1が3枠あり、問2が4枠あるのなら、問1の3枠を先に全部埋めて検討を打ち切り、答案用紙に書き込みます。そして、問題文を再検討した上で、問2の4枠を次に全部埋めます。(埋めると言っても正解が「登記不要」のような場合も有ります。)

通常、時系列と事実関係の掲載順序は一致します。つまり、問題の先頭で登場した事実関係が、そのずっと後の登記の伏線となることはあっても、逆は有りません。つまり、問題の最後に登場した事実関係が、最初の登記に影響することは有りません。

以上から、問題は先頭から読めば良いと思いますが、万が一、事実関係の時系列が錯綜して出てくる可能性を考慮するなら、問題文全体を日付にだけ注目してサラっと見ておけば良いと思います。事実関係が記載されている順序と時系列が一致していれば、問題は先頭から読めばよいことになります。

なぜマーカーを打たないか

既に少々触れていますが、制限時間間際になり、聴牌ってしまうと、マーカーを打っていても結局見落としてしまうからです。それよりもマーカーを打つ時間を問題を解く時間にあてた方が良いと思います。そうすることで聴牌る時を遅らせることが出来ます。

そもそも、マーカーを打とうが打つまいが、信じられないようなミスが発生します。

試しに異様に難しいことで定評のある平成24年度の商業登記法の問題を制限時間1時間で解いてみましょう。信じられないようなミスをするはずです。私は、本店移転登記で役員の就任日付等を書き漏らすという信じられないようなミスをしました。(しかも初見ではありません。)この時、かなり制限時間で聴牌っている状況でした。

答案構成用紙に書き込むこと&書き込まないこと

答案構成用紙をどう使うかについては色々な意見があります。

私は次の4点だけを答案構成用紙に記入していました。

  • 不動産登記法の家系図
  • 商業登記法の会社のステート
  • 商業登記法の役員関係
  • 登録免許税の筆算

※会社のステートとはもともと技術用語ですが、会社が公開会社なのかそうでないのか、大会社なのかそうでないのか、取締役会設置会社なのか設置していないのか、ということです。

家系図はやはり答案構成用紙に書き出さないと混乱します。例えば、AとBが婚姻し、子供CとDができ、その後Aが死亡したのであれば、AとBの間に二重線を、その下にCとBを書き、そして、Aに×を付けてその日付を書き、B、C、Dの法定相続分を書き込みます。

これは、平成27年度の問題のように、問題文中に家系図が登場する場合は必須ではありません。この場合は、問題用紙に足りていない情報だけ直接書き込みをすれば良いです。

会社のステートは、書き込んでいましたが、このような書き込みをするのはお勧めしないという結論に至りました。これについては後述します。

役員関係もやはり答案構成用紙に書き出さないと混乱します。これについてはオートマ記述式の解説にも書き方が載っていますので、それを参考に書き込みしていけば良いと思います。

私は、「うかる! 司法書士 記述式 答案構成力 商業登記 実戦力養成編(山村拓也 先生 著)」の書籍を参考にしていました。他の記事で「必須ではない」と切って捨ててしまった書籍ですが、役員関係の整理方法については参考になることが載っています。

登録免許税の筆算については説明の必要はないと思います。これはどこに書いても良いです。

個人的に答案構成用紙に事実関係を細かく書き出していくという方法は全くお勧めしません。

理由は2点あります。

  • 時間がかかる。
  • ミスが発生しやすい。
  • いざというときに見落とす。

時間がかかるのは説明の必要はあまり無いのかもしれませんが、同じことを答案構成用紙と答案の2種類の紙に書き込むのは非常に冗長ですし、時間がかかります。

ミスが発生しやすいというのは、反対意見もあると思います。私も最初は答案構成用紙に書き出せばミスが減ると思っていたのですが、すぐに考えを改めました。

というのは人間はコンピュータのような精度で情報を複製できないからです。例えばあるファイルをUSBフラシュメモリ(答案構成用紙)に入れた後、別のPC(解答用紙)で開いたとき、破損していることは滅多にありません。

しかし、ファイルの内容を目で見て紙(答案構成用紙)に書き出して、紙を見ながら、別のPC(解答用紙)に打ち込むとなると、正確に作業できる方がむしろ稀だと思います。

人間のやる仕事でミスが起きること自体は仕方がないとも言えるのですが、問題はミスが起きる確率が増幅されていることです。

上記の喩えで言えば、ディスプレイ2台を用意して、紙(答案構成用紙)を経由せずに別のPC(解答用紙)に打ち込めばミスは大幅に減ります。

確率のお話を思い出して欲しいのですが、1割の確率でミスをする人(9割の確率で正確に作業する人)が、答案構成用紙に事実関係を書き出す際に正確に作業できる確率は9割です。また、答案構成用紙に整理した内容を解答用紙に書き込む行為が正確に作業できる確率は9割です。しかし、これはそれぞれの作業を単独で見た場合の話です。

実は、両方を合わせて正確に作業できる確率は81%しかありません。つまり答案構成用紙を経由したことで、ミスをする確率が9%も増幅してしまっているのです。

体感的にも、答案構成用紙に書き出す方法論を使用するようになってから、ミスが増えました。時間がかかるという理由も相まって、答案構成用紙にはできるだけ書き込まないのが理想だと思います。

他の記事でも述べていますが、答案構成用紙に事実関係を書き出すという手法は本試験の現場を想定した方法と言うよりも、講師が受講生に説明するためのプレゼンテーション資料を作るための手法だという面があると思います。

「いざというときに見落とす。」とはどういうことかと言えば、聴牌ってくると、答案構成用紙に書き込んだことを確認してから書いていれば防げたはずのミスを、答案構成用紙を確認することを省略してしまい、結局ミスをしてしまうというものです。

この記事を見てください。

(参考記事)【司法書士試験】平成27年度商業登記法(記述)考察 – 『ボ株積極?消極?』

平成27年度の商業登記法の記述で、私は会社のステートを答案構成用紙に書き込む癖がありましたので、会社が取締役会設置会社に変更されたことを答案構成用紙に書き込んでいました。

しかし、募集株式の発行は積極で回答するというミスをしてしまったのです。

これは、募集株式の発行を積極で回答する前に、答案構成用紙を見直していれば防げたミスかもしれませんが、平成27年度はとにかく書かなければならないことのボリュームが大きく、その確認を省略してしまいました。結局ミスをしています。

このことから、私は答案構成用紙に会社のステートを書き込んでもアテにならないと思うようになりました。

それでは何に何を書き込めばいいか?

問題用紙に書き込んでください。私もそうしていました。

というのは、いざというときに答案構成用紙をチェックすることを忘れることはあっても、問題用紙はチェックする人が多いと考えられるからです。特に、何か重要な判断をするときは、私は登記事項証明書をよく見てから最終的に書き込むかどうか決めると言うことをしていたので、重要な情報は、登記事項証明書に書き込んであるのが理想です。そうすれば見落としも少なくなります。

先ほども説明した通り、不動産登記法では家系図があって相続が発生している場合は、法定相続分を書き込んでいました。

そして不動産登記法も商業登記法も登記事項の変更やその他の状態変化は問題用紙の登記事項証明書に書き込みます。

不動産登記法では、所有権が移転したのであれば、新たな所有者を登記事項証明書に書き込みます。また根抵当権の元本確定は登記されない場合がありますが、元本確定したことが、事実関係からはっきりしたのであれば、登記事項証明書の根抵当権の登記事項のところに、元本確定とメモ書きを入れます。

商業登記法の登記事項証明書には何をメモ書きすれば良いのかが難しい所ですが、私は、株数や新株予約権の数は登記事項証明書に書き込むようにしていました。そのほかにも書き込んでいたかもしれませんが、大分昔のことですし、問題用紙を紛失してしまいましたのでよく覚えていません。いずれにしても、答案構成用紙に事実関係を全部書き出す必要が無いのと同じで、問題用紙(登記事項証明書)に登記事項の変更を端から端まで書き込む必要はありません。

また、商業登記法では定款にも書き込みをしていました。私が受験したときは、定款そのものに加えて「定款の変更のビフォーアフター」が提示されていましたが、定款には、登記に関係がない事項(余計な事)がたくさん書かれています。登記に関係してきそうな事項には大きく〇を付けて、それ以外の余計な事とは区別するようにしました。

不動産登記法も商業登記法も同様ですが、事実関係のうち解決済みのものにはチェックマークを付けていきます。例えば、役員が就任承諾をしたのであれば、その役員が無事に就任したことを答案構成用紙に書き込んだ時点で、その事実関係は解決済みなのでチェックマークを付けて、以降は無視するようにします。

登場した事実関係が直ぐには登記に影響せず、次の問の伏線になっているような場合がありますが、そういう可能性を察知した場合は、チェックマークを付けません。その可能性も全くないような登記に一切関係しない雑多な情報が提示される試験問題は稀ですが、もしそのような事実関係を見つけた場合は×を付けて無視するようにします。

最後に

今回は以上です。

私が具体的にどのような書き込みをしたかについては、問題用紙が見つかり次第、公開したいと思います。

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