(レビュー)オートマシステム<記述式>『★★★★★(星5)』

レビュー

こんにちは。九条です。

今回は、恐れながら司法書士試験のテキストであるオートマシステム<記述式>のレビューをさせて頂きます。

オートマシステムの択一式については、以前レビュー記事を投稿しましたが、今回は記述式のレビューをします。

この記事は、私が受験していた当時のオートマシステムのお話です。現在は変更があるかもしれません。それを最初にお断りしておきます。

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(レビュー)オートマシステム①

オートマシステム<記述式>とは

オートマシステム<記述式>は、TACさんが作成されたオートマシステム本編の続編にあたる教材で、カリスマ講師である山本浩司先生の著書です。元々オートマシステムは、山本浩司先生の講義に使う公式なテキストです。

オートマシステム<記述式>は不動産登記法と商業登記法の2冊の分冊になっています。

テキストと言うよりは問題集

オートマシステムの択一式がテキスト形式(読み物)であったのに対して、記述式は問題集の形式を取っています。

最初に問題が提示され、その後に答が提示されるという形式になっていて、本全体として数十問の設問があります。

択一式の方は先頭から順番に読み込んでいくというのが基本的な使い方となりますが、記述式は問題集ですので、まず問題を見て、それを元に解答をノート等に書き込んで、その後、答え合わせをするという流れになります。

先頭から順番に読み込むという使い方をしたくなる人もいるかもしれませんが、個人的にはそれでは実力は付かないと思います。問題集なので、実際に手を動かして問題を解きましょう。

記述は、自分で問題を解いて答えをきちんと書き、答え合わせをすることで実力が伸びていく分野だと思います。

総合評価

★を付けるなら

★★★★★

Amazon 風に5点満点で書くなら5点です。

これだけで記述対策は万全という本ではありませんが、司法書士試験の独学の受験生なら必ず入手しておくべきですし、予備校の受講生でも利用価値があるかもしれません。

問題が無いわけではないですが、外販されている資格テキストとしては十分なクォリティに達していること、唯一無二性からこの評価にしました。

非常に難解

非常に分かり易いことで定評のあるオートマシステムの択一式ですが、記述式については非常に難解です。

これは、無駄に試験に出ないような学問的な領域に踏み込んでいるとか、実務的な領域に踏み込んでいるとかそういう話ではありません。

あくまでオートマシステム<記述式>はオートマシステムの択一式の延長と言う感じで、オートマシステムの択一式を「完璧に理解している人」なら問題無く正解できる内容です。

オートマシステム<記述式>は、不動産登記法と商業登記法の両方とも、非常にイヤラシイひかっけ問題が多いのです。

特に商業登記がイヤラシイです。僅かでも判断を誤ると壊滅的な解答を書く羽目になります。

ネタバレになるので詳しいことは書けませんが、会社が実は解散していて、見落としてしまうと、その後の清算人の登記等、全部とんちんかんな解答を書いてしまうとか、合併の決議がされたものの、決議に瑕疵があり、実は合併できませんでした、等です。

これらはオートマシステムの択一式にはすべて記載があって、択一式をこなしていれば解けるはずの論点ばかりなのですが、記述問題として実際に解いてみるとなかなか解けません。

従って、本書で勉強する前に、基本的な雛形を網羅した、「ケータイ司法書士」や「うかる! 司法書士 解法パターンで学ぶ書式80」で、ひな型を学習しておくことをお勧めします。それでも壊滅的な答案を書くことになりますが、白紙解答は避けられるので、いくらかモチベーションを保つことはできます。

極めて貴重な唯一無二の本

オートマシステム<記述式>には代替となるような書籍が今のところありません。

司法書士試験の記述問題は、択一式の延長です。その場で頭を使わなければならないような問題は少ないです。イヤラシイ引っ掛け問題が出ると指摘されることも多いですが、引っ掛け方にパターンがあり、それを全部覚えてしまえば怖くないと言われています。

オートマシステム<記述式>は、司法書士試験の引っ掛け問題をかなり緻密に網羅しているという印象を受けました。

オートマシステム<記述式>を完璧にやり込んでおけば、記述は絶対安心とまでは言えませんが、絶対に落としてはいけない論点は潰しておくことができます。

合格にはオートマシステム<記述式>の知識に+α必要かもしれないというのが私の個人的な印象ですが、それは他の教材を買い足したり、予備校の記述に特化した講座を取ることで対応できます。

実は、このような書籍は少ない、と言うか私が受験していた頃は、他に存在しませんでした。

雛形集や基本問題集、記述式の解き方を解説した本、過去問、答練の外販版のような問題集、これらはたくさん存在していますが、司法書士試験の引っ掛け方のパターンを問題集形式で網羅した本と言うのは他に存じ上げません

オートマシステム<記述式>は、独学であれば必須級の書籍ですし、替えが利かない書籍でもあります。また、予備校を利用していても、オートマシステム<記述式>を利用する価値がある場合もあります。

色々と問題点もある書籍ですが、総合的に見ると、それくらい素晴らしく貴重な本です。

ここまで難解にする必要はあったのか?

ここまで難解だと、問題を初めて解いたときに、たとえオートマシステムの択一式の知識を勉強済みであったとしても白紙解答になる可能性もあります。白紙解答にならないまでも、正解とは程遠い解答を書いてしまう場合も多いです。こうなるとモチベーションが削がれてしまいます。

私は択一式については y軸の意味で本試験以上に難しい問題を解くことの必要性を度々主張していますが、記述については本試験と同程度の難易度の問題が解ければ十分だと考えます。(ただし、本試験と同程度の難易度の問題と言っても過去問をひたすら繰り返せば良いという話ではなく、未出の論点への対策は必要です。そのため、オートマシステム<記述式>のような未出の論点を網羅的に記載した本は非常に貴重なのです。)

従って、オートマシステム<記述式>を実際に利用した感想としては、もう少し難易度を落としても良かったのではないか?と思いました。

ですが、オートマシステム<記述式>の問題を繰り返し解いていけば、いずれは完璧に近い解答を書けるようになります。何度解いても理解が及ばないような書籍では意味がありませんが、本書は、繰り返し説くことで、理解が進み、達成感も得られるようになっています。

※私も最初は壊滅的な解答をして、絶望感を感じたのを覚えています。6周ぐらいしましたが、その頃には安定して書けるようになりました。

また、「記述については本試験と同程度の難易度の問題が解ければ十分」と言うのはあくまで私の意見で、難しい問題を解いておいた方が安心感があるという意見もあるでしょう。

よって、難解過ぎることは、必ずしもオートマシステム<記述式>の評価を下げる要因にはならないと思います。これくらい難解な方がちょうどいいという意見があったとしてもおかしくありません。

オートマシステム<記述式>の弱点

最近流行りの論点は網羅されていない

オートマシステム<記述式>は基本的な論点を網羅できていますが、これだけでは対応できない論点も試験には出題されます。

例えば私が受験していた頃で言えば次のような論点です。

  • 平成26年度の信託登記
  • 平成26年度の組織変更
  • 平成27年度の根抵当権の申請人が複数のパターン
  • 平成27年度の株式交換

信託のような論点は、かなり不意打ちで出題されたと言われており、網羅していないのも仕方がないと思います。

しかし、私が受験した頃は、合併や会社分割と言った組織再編からの出題が、強く予想されていた時代です。予備校の講師も出題されると予想していましたし、素人である私も出題されると予想していました。

オートマシステム<記述式>では、合併の決議に瑕疵があり、合併ができないというひかっけ問題が出題されますが、合併ができて登記もできるパターンも出題して欲しかったと思います。これまでの傾向から言って、合併ができないという引っ掛け問題よりは、合併ができて登記もできるパターンの方が出題可能性が高かったと思います。

事実、平成27年度には株式交換の問題が本試験で出題されており、決議に瑕疵が無く、株式交換ができて登記できるパターンでした。

こうして見るとかなり漏れがあるのですが、予備校の講座も含めて、他の教材でもこのような漏れはあるでしょうし、これらは他の書籍や予備校の講座で補えばよいのですから、必ずしもオートマシステム<記述式>の評価を下げる要因にはならないと思います。

商業登記を2回に分けて申請させる問題が無い

最近の司法書士試験の商業登記記述では2回に分けて申請させるケースが多いです。

こういう問題を解く場合は、ある登記すべき事項があったとき、それを1回目で申請するのか2回目で申請するのかを検討する必要があります。

オートマ記述式の問題にはそのような問題はほとんどなかったと思いますが、こういう問題は商業登記の枠ズレの危険がありますので、それを警戒しながら解く必要があります。当然、ここで枠ズレすると致命的な失点となります。

そのため、オートマシステム<記述式>だけではこのような訓練が不十分なので、過去問等も使って練習しておく必要があると思います。

「解き方」は解説されていない

オートマシステム<記述式>は、問題と解答が解説されているだけで、解き方を解説した本ではありません。

記述式では、複雑で錯綜して現れる事実関係を整理するため、様々な問題の解き方のテクニックが書籍で提案されています。

例えば次のような書籍です。

  • 司法書士 リアリスティック不動産登記法/商業登記法 記述式(松本雅典 先生 著)
  • うかる! 司法書士 記述式 答案構成力 不動産登記/商業登記 実戦力養成編(山村拓也 先生 著)
  • うかる! 司法書士 記述式対策 不動産登記/商業登記 [入門編](蛭町浩 先生 著
  • 超速解司法書士試験記述式(小玉真義 先生 著)

これらの書籍では、答案構成用紙(試験で配布される自由に使えるメモ用紙)にどんな書き込みをすれば良いのかとか、どういう順序で問題を見て行けば良いのか、と言うようなことが解説されています。

しかし、オートマシステム<記述式>にはそのような記載は有りません。

別の記事にしたいと思いますが、私自身は、解き方や方法論の書籍はあまり役に立たないと思っており、我流独特の場当たり的な方法で解いた方がうまく行くと思っているため、こういった解き方を解説した書籍をあまり有用とは感じていません。

しかし、こういった解き方を解説した書籍を勉強して、その通りにやってみたいという人もいるでしょう。その場合は、オートマシステム<記述式>とは別に、こうしたとき方の書かれた本を購入する必要があります。

こうした解き方を解説した書籍に記載のあるとき方で、オートマシステム<記述式>の問題を実際に解いてみるのも有効だと思います。

また、解き方とも関係してきますが、オートマシステム<記述式>に合格ゾーンや答練模試のような緻密な解説はありません。問の解説は要点のみとなっております。これでは困るという人もいるかもしれませんが、そういう方は択一の勉強が不足しています。記述式の勉強で緻密な解説が必要だと感じるなら、これまでの択一式の勉強に問題がなかったか、見直してみる必要があると思います。オートマシステム<記述式>の解説文は程よくシンプルで、学習が十分に進んでいる人にはちょうど良いと感じるはずです。

別紙形式への対策が必要

最近の出題傾向の流行として、問題文は薄く作られていて、その分、契約書、家系図、定款、株主総会議事録等が別紙で示されるという出題がされることが多いです。

実は、これらは出題の形が変わっただけで、必要な知識はオートマ本編(択一式)とオートマシステム<記述式>で十分に網羅されているので、あまり深刻に考える必要は無いのですが、初めてこのような問題に遭遇すると戸惑うこともあるかもしれません。

オートマシステム<記述式>はこのような別紙形式の問題は殆ど収録しておらず、別途慣れるために、本試験同様の形式の問題を解いた方が良いと思います。これは過去問でも十分なのですが、予備校の答練を受けておく手もあります。

私は、予備校の答練の少なくとも択一式については、存在意義について懐疑的ではあるのですが、記述式の答練は受けておいた方が良いと思っています。本 Web サイトで、記述式の答練の受講を、お勧めしている理由のひとつがこれです。

不動産登記法の応用編はやる必要無し

オートマシステム<記述式>は難解ではあるものの、オートマシステム<記述式>を完璧にやり込んでおけば、絶対に落としてはいけない論点は潰しておくことができると述べました。

では、オートマシステム<記述式>の内容全部を一律に完璧にこなせるようにした方が良いのでしょうか?

実はそうとは思えません。

オートマシステム<記述式>の不動産登記の応用編は、司法書士試験の試験範囲から明らかに逸脱した、悪い言い方をすれば著者の趣味問題です。

これらは解けなくとも落胆する必要はありませんし、解けなかったからと言って、何度も復習する必要はないと思います。

せっかく本を買ったんだから解かないともったいないという心理が働くかもしれませんが、私は解くと時間の無駄だと思いました。1回解いて「へぇ、こんな問題も作れるんだ。」と思っておけば十分ではないかと思いました。

これについては、他の合格者の方やコロ助さんも同じ意見のようです。

(参考資料)【司法書士試験独学】コロ助がとった記述の勉強法はこれです【書かずに覚える】 | しれっとブログ-司法書士試験・予備試験編

一方、商業登記の応用編は、良問が含まれているので、完璧に解けるようになっておきましょう。

予備校を利用していてもオートマシステム<記述式>を読んでおくべきか?

平成25年度の商業登記記述に、ゼロ減資と言われる論点が出題され、合否の分水嶺になったと言われています。

実は、予備校の講座も答練もゼロ減資の論点を網羅している物は少なく、市販教材であるオートマシステム<記述式>はゼロ減資を網羅していたと言われています。

ゼロ減資は、一度でも解いたことのある人には簡単な問題なのですが、初見だと非常に戸惑うことのある問題です。

そのため、オートマシステム<記述式>を解いていた人は、予備校生であっても独学者であっても非常に有利になったと言われています。反対にオートマシステム<記述式>を解いていなかった受験生は、かなり運任せな判断を求められたでしょうし、全く未知の論点を突き付けられて強い心理的プレッシャーを感じたのではないかと思います。

オートマシステムは、合格レベルにある独学者ならほぼ誰もが使用しており、オートマシステム<記述式>をやっていないと、オートマシステムの論点が的中した場合に独学者に負けてしまうということも有りえる話です。

そのため、予備校の教材が、どんな問題が来ても絶対に点を取れるという自信を持てるような内容でなければ、予備校を利用していてたとしても、オートマシステム<記述式>をやっておいた方が良いというのが私の考えです。

予備校によっては、オートマシステム<記述式>ほど網羅的な教材を提供していない場合もあるでしょうから、もしかすると、予備校の提供する教材よりも、オートマシステム<記述式>を優先した方が良い場面もあるのではないかとすら思えます。

誤植は多いのか?

オートマシリーズは記述式に限らず、誤植が多いと指摘されることがあります。確かに、私が使用しているオートマシステム<記述式>にも誤植はありました。しかし、正誤表が出ていますし、学習が極まっていれば、自分で気づいて訂正できるレベルのモノです。また、司法書士試験も含めて他の専門書も色々と読んでいますが、オートマシステムが特に誤植が多いとは思えません。

よって、誤植はオートマシステム<記述式>の評価を損なう要因にはなりにくいのではないかと思います。

まとめ

オートマシステム<記述式>はテキストと言うよりは問題集です。

オートマシステム<記述式>はオートマシステム本編に比べるとかなり難解な書籍です。

オートマシステム<記述式>は司法書士試験の記述式の引っ掛け問題のパターンを、抜けが無いわけではありませんが、網羅しており、替えが利かない教材です。

オートマシステム<記述式>はこれだけやっていれば記述は完璧という本ではありません。他の本でも補う必要があると思います。

オートマシステム<記述式>の不動産登記の応用編はやる必要はありません。

オートマシステム<記述式>は予備校を利用していても、読んでおいた方が良い書籍です。

最後に

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