【司法書士試験】「模範解答」と「正解」の違い

司法書士試験
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こんにちは。九条です。

タイトル通りです。司法書士試験に限った話ではないのですが、私はある問題があったとき、その問題に対応する「模範解答」と「正解」は異なると考えます。

これを区別しておくことは受験対策上重要なことだと思います。

受験対策上、本当に必要なのは「模範解答」ではなく「正解」なのです。

参考記事

【司法書士試験】平成27年度商業登記法(記述)考察 – 『ボ株積極?消極?』

「模範解答」とは

模範解答とは、市販の問題集に付いて来る解答や、本試験後に予備校が発表する「こう書けば満点になる。」という答案のことです。

例えば、次のリンク先は私が合格した年の模範解答です。

みとみ学園 – 平成27年 司法書士 試験解答速報

「模範解答」は出題ミスが無い限り満点になります。

「正解」とは

平成27年の問題の「模範解答」は上記の通りで、これはこれで必要なものですが、「正解」とはずいぶん乖離があります。

「正解」は多くの場合、満点にはなりません。

択一に見る「正解」

例えば、平成27年度司法書士試験の午後択一の問33では次のような問題が出題されました。

(問)次のア~オまでの法人のうち、資産の総額が法人の登記の登記事項であるものは幾つあるか。
ア 医療法人
イ 学校法人
ウ 司法書士法人
エ 社会福祉法人
オ 特定非営利活動法人
1個、2個、3個、4個、5個

この問は未出の肢で、しかも個数問題です。というかこの問を正解するのに必要な知識を掲載したテキストは、当時存在しなかったのではないかと思います。

当然、こんな問を自信をもって回答できる受験生はいません。

この場合、「正解」はどうなるでしょうか?

「正解」は思考を辞めてランダムにマークすることです。

このように本試験では、「思考を辞めてランダムにマークすること」が「正解」となるような問題が出題されます。

※私が、35/35を狙うべきではなく、33/33を狙うべきと妥協しているのはこのような奇問が出題されるからと言うのが理由です。

そのため、奇問を見たときに「思考を辞めてランダムにマークすること」を練習をしておいた方が良いという考え方がああります。私もこれには一理あると思いますが、模試を1回解いておけば訓練としては十分だと思います。

模試や答練に出題される奇問は、奇問だから解く価値がないかと言えばそうではなく、「思考を辞めてランダムにマークすること」を練習するためという存在意義があります。

私がマズいと思うのは、多くの予備校の模試の解説には裏事情とも言える「正解」が記載されていないことです。その結果、実力のない受験生が模試を受けてしまうと、奇問の復習に時間を取られ、本来やるべき勉強に充てる時間を削られてしまいます。

記述に見る「正解」

登記すべきでない事項とその理由

これは随所で指摘されます。

司法書士試験の記述には、登記すべきでない事項とその理由を書きなさいという問が出題されることがありますが、「模範解答」に記載されている理由は長すぎるのです。本試験でこのような長い理由を記述している時間はありません。そのため、簡潔に要点だけを書くことが「正解」となります。減点されるかもしれませんが、時間切れになるよりはマシです。

ですが、択一と同様に「正解」まで記載した模試は殆ど存在しないのが現状ではないでしょうか。

平成27年度不動産登記法記述

第3欄(3)と(5)がまさに「模範解答」と「正解」が解離している問題です。

根抵当権の債権の範囲として何が登記できるかという趣旨の問ですが、これは午後択一の問33と同じで、全くの未出の知識でした。

この場合の正解も、「思考を辞めてランダムに書き殴ること」だと言えるでしょう。

ちなみに私は、「債権の範囲」とだけ記述し変更後の具体的な事項は白紙解答にして提出しました。これでも致命的な減点にはなりませんでした。

平成27年度商業登記法記述

さて、これが一番厄介です。

「参考記事」で述べておりますが、出題疑義(ボ株積極?消極?問題)がありました。

この場合の「正解」は何でしょうか。

決議の瑕疵を見抜き、消極で回答した人もいるでしょうが、それは「正解」とまでは言えないかもしれません。

これを医師国家試験に挑戦している知人に相談して議論したところ、次のような結論で合意に至りました。

それは、本当に圧倒的な実力のある人なら、出題疑義があることまで見抜いて、この論点を「白紙解答にして提出すること」をしたであろうというものです。

※もちろん白紙解答にすると言っても、疑義の無い部分である「株式交換」と「発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の設定(通称写経)」の論点はきっちりと記載します。登録免許税の額の計算はボ株が積極なのか消極なのかによって額が変わるため、白紙解答にします。

平成27年度商業登記法記述は問題のボリュームがとにかく大きく、時間切れを起こした人が多発しました。出題疑義のある第2欄の後に、第3欄、第4欄が控えています。

ならば、何を書いても減点される恐れのある第2欄に時間を割くぐらいなら、白紙解答にして、第3欄、第4欄の検討に時間を充てるべきです。

※より正確な言い方をすると、白紙解答にして提出するのではなく、第3欄、第4欄を回答した後、余った時間で、もう一度第2欄を検討できれば理想的です。

ただ、私にはこれは無理でした。これができた受験生は、1人も存在しないかもしれません。(同期合格者にそんな方は居ませんでした。)もし、そんな実力の持ち主がいるとしたら全国1位で合格していることでしょう。

まとめ

以上、「模範解答」と「正解」は違う物だというお話でした。

今回は、特に明確な対策を示すことができていないので、たわごとだと思っていただいて構いません。

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