質問:4月頭にテキストの内容が全然頭に入っていません。具体的には全体の半分しか入っていない状態です。でも、どうしても今年受かりたいんです。ここから、どう立て直せばいいでしょうか?
今回はこの質問に回答していきます。
もちろん、コロナウィルスの影響は考慮せず、通常通り7月に司法書士試験が開催される前提で話を進めます。
結論から言うと、諦めないでください。合格の可能性はあります。
逆質問
この質問には、あいまいな点があります。そのため場合分けしながら解説します。
全体の半分も入っていない状態です。
この意味はどちらでしょうか?
- 民法/不動産登記法/会社法/商業登記法は完璧に近いという自信があるが、主要科目以外のすべての科目の進捗が「うんにゃらほい!」ということでしょうか?
- 全科目進めているが全科目「半分」しか入っていないという意味ですか?
本題
既に学習済みの「半分」を何カ月で学習できたかが重要です。
既に学習済みの「半分」を3カ月で終えたのであれば、試験まで残り3カ月なのですから、これまでのスピードで残りの半分を仕上げれば間に合うことになります。この場合、合格の可能性は十分あります。
つまり6カ月計画を組んでいて、その半分の期間(3カ月)を使って、試験範囲の「半分」まで進めた場合がこれです。
私には無理ですが、司法書士試験に5ヵ月(1日17時間勉強)で合格したと自称される講師もいますし、6カ月計画は絶対に不可能だとまでは言えません。
ただし、無駄なことをやっている余裕は一切ありません。
この段階では、答練を受けるべきではありません。
理由はこの記事に書いたように、時間の無駄というディスアドバンテージが目立ってくるからです。
これは既に説明した通りです。
もし、既に答練を購入しているなら、捨ててしまうことも選択肢に入れてください。
ただし、答練を捨ててしまうと、答練の未出の論点が本試験で的中したときに、激しく後悔することになります。と言うか、それで不合格になったら悔やんでも悔やみきれないでしょう。
その可能性を懸念するのであれば、答練は記述だけ目を通すようにしましょう。
この目的で答練を使うのであれば、時間を計って解く必要はありません、ゆったりしながら1回解けば十分です。もしも、間違えたら入念に復習すればよいのです。
模試を受ける回数については難しいところですが、最低でも1回は受けた方が良いと思います。
以下のお話は、既に学習済みの「半分」を3カ月で終えることができていると仮定した場合のお話です。
主要科目以外のすべての科目の進捗が「うんにゃらほい!」の場合
この場合、合格が近いと言えます。何故ならば、民法/不動産登記法/会社法/商業登記法を完璧に近く理解した方にとって、主要科目以外の科目は簡単だからです。そういう方がやるべきことは次の3点に絞られます。
- 主要科目以外の科目の知識を仕入れる。(民法/不動産登記法/会社法/商業登記法よりずっと楽でしょう。)
- 民法/不動産登記法/会社法/商業登記法の知識を現状維持するため復習する。
- 記述対策を行う。
おそらく、民法/不動産登記法/会社法/商業登記法の知識が完璧に近いのであれば、記述は簡単とまでは言わないものの、学習は速いと思います。
全科目進めているが全科目半分も入っていない場合
正直、厳しいです。
というのは、自分では「半分」だと思っていても、ずっと少なかったというこもと考えられるからです。
私は「民法/不動産登記法を80%理解できた!」と思ったのに、実は半分も理解できていなかったという現実を突きつけられ、頭を抱え込んだことがあります。
とはいえ諦めないでください。
これも2つの場合が考えられます。
- 勉強方法が正しい。
- 勉強法に誤りがある。
今からするのは主に択一のお話です、記述対策も別に必要になるということを忘れないでください。
この状況では、記述式を解こうとしても訳が分からんということになる可能性があります。最低でも、記述式を解けるようになるレベルまで、民法/不動産登記法/会社法/商業登記法の知識を高めていくことが最優先課題だと思います。
勉強方法が正しい。
勉強方法に間違いが無く、かつ自覚通り本当に「半分」理解できていると仮定すれば、本試験までに合格レベルに至ることは不可能とは言えません。
「自覚通り」というところが重要で、既に述べた通り、私は「民法/不動産登記法を80%理解できた!」と思ったのに、実は半分も理解できていませんでした。自分では「半分」理解していると思っていても、実は「半分」に達していなかったという可能性もあります。
この場合の学習方法としては、基本事項を徹底して勉強し、+αのいわゆる未出の知識を可能な限り勉強することになると思います。
勉強方法に誤りがある。
正直、非常に厳しいです。
この場合はトレードオフです。勉強方法を変更することで効率が著しく改善されることも考えられますが、一時的に効率が悪くなります。これらを、試験までの残り期間を考慮した上で、秤にかけて決める必要があります。
勉強方法の変更とは、具体的に言うと教材の追加や使い方の変更です。こればかりは、各個人の置かれている状況にもよるので、断定的なことを申し上げることはできません。
ありそうな誤りは次のいずれかです。
- 過去問をやりすぎている
- 過去問をやっていない
過去問をやりすぎている
テキスト中心の勉強に切り替える必要があるでしょう。普通にテキストを頭から読むだけではなく、内容を説明できるようにする必要があります。
この記事に書いていますが、過去問の肢の正誤を判断するだけでは勉強になりません。
過去問をやっていない
テキストの内容を説明できるようにする必要があると申し上げましたが、さすがにテキストの全部を1字1句間違いなく覚えるのは不可能です。
分野ごとに必要な知識の精度が違いますので、精度の低い知識でも正解できる分野は妥協しなければなりません。
完全暗記するか、それとも妥協するか、そこを見極めるための教材が過去問です。言い方を変えるなら、テキストの内容が「本試験でどう問われるか?」を、過去問から見極めるのです。
過去問をやっていない場合にお勧めの教材を具体的に挙げると必出3300選です。必出3300選は肢別問題集とまとめ表がセットになったもので、テキストの内容が「本試験でどう問われるか?」を捉えていくには非常に有効な教材です。
ただし、この時期に教材を増やすと、捌ききれなくなるリスクがあります。それも考慮した方が良いでしょう。
この場合、本番形式の過去問題集を解いている時間的余裕はないと思いますので、必出3300選の肢別問題集のみで妥協することを考えた方が良いと思います。
最後に
本記事では、復習に必要な時間を度外視しています。
要するに、民法/不動産登記法/会社法/商業登記法と順当に進んだ場合でも、その後の科目はこれらを復習しながら進めなければならない為、同じスピードでは進めることができないということです。
しかし、民法/不動産登記法/会社法/商業登記法は、他の科目に比べて綿密にやり込まなければならない科目です。これらの科目では、テキストを読み込み、過去問を解く回数も増えるため、民法/不動産登記法/会社法/商業登記法を完璧にできていることを以って、試験範囲全体の「半分」をクリアしていると、みなせることには変わりないと思います。
参考にならなかったかもしれませんが、私から申し上げられることは以上です。よろしくお願いいたします。
ちなみに私は記述が苦手です。記述にあまり触れていないのはそのためですが、記述対策も重要なので忘れないでください。
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