こんにちは。九条です。
前回に引き続き司法書士試験の初心者向けの記事です。
今回は、次の受験用語について解説させていただきます。
- 足切(基準点割れ)
- 総点落ち
- 上乗せ
- 択一逃切
- 記述挽回
基本
司法書士試験には基準点という概念が有ります。
司法書士試験に次の区分があることは誰でもご存じかと思います。
- 午前択一
- 午後択一
- 午後記述
司法書士試験の採点においては、毎年、それぞれの区分につき、基準点というものが設定されます。
まず、午前択一、または午後択一のいずれかが、基準点に到達しない場合、直ちに不合格になります。午後記述を採点すらしてもらえません。このような状況になり不合格になることを択一の「足切」と呼びます。
さて、午前択一と午後択一の両方が基準点を突破した場合、午後記述の採点をしてもらうことになりますが、午後記述にも基準点が設定されています。そして、午後記述が基準点に到達しなければ、その時点で不合格になります。このような状況になり不合格になることを記述の「足切」と呼びます。
なお、私は「足切」という言い方をしません。「基準点割れ」という言い方をすることが多いです。こちらもよく使われる受験用語です。
では、午後択一、午前択一、および午後記述の全てが基準点を上回れば合格できるかというと、そうではありません。これらに加えて合格点が設定されます。この合格点を上回ることでようやく司法書士試験に合格できます。
午前択一、午後択一、および午後記述の全てが基準点に到達しているものの、午後択一、午前択一、および午後記述の合計得点が合格点に達せずに不合格になることを「総点落ち」と呼びます。
最近、合格点は、午後択一、午前択一、および午後記述の合計得点+24点前後(つまり、択一式8問分)に設定されることが多いのです。この「基準点の合計+α」を「上乗せ」と呼びます。
やや稀なケースですが、午後択一、午前択一、および午後記述の合計得点が合格点に達しているものの、記述が基準点割れを起こす方います。これは特に呼称が割り当てられているわけではありません。しかし、毎年そういう方がいます。司法書士試験は択一だけできれば良いというものではありません。
以上をまとめると、司法書士試験合格に必要な絶対条件は次の通りです。
- 午前択一で、基準点に達すること。
- 午後択一で、基準点に達すること。
- 午後記述で、基準点に達すること。
- 午前択一、午後択一、および午後記述の合計得点が合格点に達すること。
ここで、2つの戦略が考えられます。
- 択一は基準点+8問を叩き出し、記述は基準点さえ上回れば良い。
- 択一は基準点ピッタリだとしても、記述で高得点(記述の基準点+24点前後)を叩き出す。
前者を「択一逃切」、後者を「記述挽回」と呼びます。
「折衷案」はあるか?
択一式と記述式の両方で、そこそこの点数を叩き出し、合格点に達する「折衷案」を考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この作戦を採る方は稀です。
というのは、多くの受験生は、択一式、または記述式のいずれか片方を得意とし、もう片方を苦手としているからです。
折衷案を全面的に否定する意図はございませんが、これは主流とは言えません。
※現在の環境では、私が受験していたころと比べて、択一逃げ切りに必要な択一の点数が上昇しています。そのため、現在の環境では、「折衷案」を狙うのもあり得るのかもしれません。
「両刀使い」はあるか?
「両刀使い」とは私が考えた言葉です。
択一式、および記述式の両方で、高得点を取れれば、それが理想ではあります。これを私は「両刀使い」と呼んでいます。
しかし、合格後に様々な方とお会いしましたが「両刀使い」をほとんど見たことが有りません。多くの受験生は「択一逃切」か「記述挽回」のいずれかの作戦を採っています。
稀に「両刀使い」がいるのも確かです。こういう方は、全国で2桁台~1桁台の順位で合格するような方です。
「両刀使い」は「とにかく合格できればいい。」という方には当てはまらないと思います。
択一逃切と記述挽回のどちらが良いのか?
これは個人の得意不得意があるので何とも言えませんが、合格者の多数派は「択一逃切」作戦を採っています。私もそうでした。
「記述挽回」作戦を採る場合、記述式の基準点が毎年30~40点に設定されることから、これに上乗せの24点を加えると、合格には54点~64点程度を叩き出す必要があります。
記述は70点満点となり、60点以上を叩き出すというのは、なかなか常軌を逸した行為です。
ちなみに、私は択一が得意で、記述に苦手意識が有りました。当然、私は「択一逃切」作戦となります。
「択一逃切と記述挽回のどちらが良いか?」について、私はもう少し深く突っ込んだ意見を持っております。近いうちに記事にしたいと思います。
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