こんにちは。九条です。
今回は司法書士試験の初心者向けの記事です。
「枠ズレ」とは何ですか?と質問されたことがあるので回答していきます。
前提
枠ズレが生じるのは記述式です。択一式には枠ズレという概念はありません。本稿のお話も記述式に限定したものです。
枠ズレとは、ケアレスミスによる回答欄の間違いではありません。
もっと本質的な部分の間違いです。
不動産登記の枠ズレ
不動産登記の回答欄には、問の中に「枠」が用意されています。
例えば、
- 第一問第一枠
- 第一問第二枠
- 第一問第三枠
- 第二問第一枠
- 第二問第二枠
最近の出題は「問」の数がもう少し多いです。
枠ズレの例を示します。
例えば、次の解答が正解だとします。
- 第一問第一枠は名変登記
- 第一問第二枠は所有権移転登記
- 第一問第三枠は抵当権設定登記
ここで、第一問第一枠が名変登記であることを見落としてしまうとどうなるでしょうか?
- 第一問第一枠は所有権移転登記
- 第一問第二枠は抵当権設定登記
- (申請不要)
上記の通り回答してしまうはずです。
これの意味するところは次の通りです。
- 第二枠に書き込むべきことを第一枠に書き込んだ。
- 第三枠に書き込むべきことを第二枠に書き込んだ。
- 第一枠に書くべきだった答えがどこにも存在しない。
- 第三枠に(申請不要)と書いた。
問題を答えを完全に間違えています。これを枠ズレと言います。
このような間違いを犯すと、第一枠~第三枠全てにとんちんかんな答えを書き込んだことになるため、問をまるごと全滅させることになります。
採点するならば、問一は0点でしょう。枠ズレすると致命傷と言える失点となる場合があります。
そのため、受験生の多くが枠ズレを強く警戒しています。枠ズレが発生し得る論点は、回答の際に最も注意すべきポイントです。
しかし、枠ズレしても合格している方もいますし、甘く採点されたケース(上記の例で言えば、第一枠分だけの失点で済む。)もあると聞いています。商業登記法の記述で巻き返すこともできます。枠ズレしたからと言って直ちに不合格となるわけではありません。
商業登記の枠ズレ
稀に商業登記でも枠ズレを起こすことが有ります。稀なので、こちらを枠ズレとは呼ばない方もいます。
これは申請を複数回に分けて書かせる問において発生する可能性が有ります。
例えば、「1件目(問一)ですべき申請事項を、2件目(問二)の回答欄に書き込んだ。」または「2件目(問二)ですべき申請事項を、1件目(問一)の回答欄に書き込んだ。」ケースがこれです。
こうした枠ズレは効力発生日の判断を誤ったときに発生します。
こちらも、致命的失点となる場合が有るので、回答の際に最も注意すべきポイントです。
コメント